安松幼稚園の
大切にしていること

A 安松幼稚園の教育は 情緒教育そのもの
― 創造的な仕事の源となる美的感受性・美的情緒を育みたい ―

●日本の文化

安松幼稚園では、「日本の文化を次の世代に伝えること」が学校の責務であると考えています。

●安松幼稚園の教育は 情緒教育そのもの

安松幼稚園は、全ての教材の展開において、園児一人一人に美的感受性・美的情緒を育みたいと思っています。
すなわち安松幼稚園の教育は、情緒教育そのものなのです。
そして美的情緒こそが、創造的な仕事の源であるのです。

●美的感受性・美的情緒とは

  • 野に咲く一輪のスミレを見て美しいと感じる心
  • きれいな詩歌を聴けば、自然と涙がこぼれるような情感
  • 人と人との助け合いや触れ合いの話を聞き、感動する心
  • 自然、人の生き方、芸術、俳句や詩に、感動し心震わせ涙する心

先生方の熱意ある指導から引き出された子供の溢れんばかりの情緒・感性に涙

年中ゆり組 高山弘美

 先日の音楽会、本当に一生懸命に先生の指揮を見て、追って、真剣に歌う子供達の姿に涙が溢れ、先生方の熱意ある指揮にも感動しました。心より感謝申し上げます。
 今までは、家で歌ったりすることは少なかった息子ですが、音楽会が終わった今も毎日よく歌っています。
その中の出来事なのですが、主人とともに涙したことがありました。
 息子はよく「年長さんの声はすごくきれいやねん」と言っています。
特に『やさしさに包まれたなら』が好きなようなので、CDを聞かせてみました。
すると息子は、「これ、違う……」と言いました。(以下、私達の会話です)

母

「何が違うの?」

子

「声も違うけど……年長さんが歌ってるやつ聞く方がいい」

母

「どうして?」

子

「年長さんの、きれいやねん。とくにな、あの『カーテンを開いて……目に映るすべてのことはメッセージ』が好きや。あれ聞くと、涙出てくるん。なんかなぁ、勝手にぶわーって出てくるん」

母

「どんな気持ちなの?」

子

「……きもちよくて……あったかくてなぁ……やさしい気持ち。
いつも練習で聞いてて、幼稚園で泣いてしまったん、恥ずかしいから かくしたけどな」

と、ニッコリ笑いました。
 息子の言葉に夫婦で驚き、涙がこぼれました。
まだ“感動”という言葉を知らないのでこのような表現になっていますが、息子の気持ちは十分に伝わりました。息子も、大人と同じように、歌を聴いて感動する心が育っていたのですね。
もうなんだか……息子の成長に夫婦で涙です。
 年中に転入しわずか3か月、先生方の日々の熱意と誠意ある指導のおかげで、歌うということだけでなく、このような素晴らしい情緒・感性を育んで頂いたこと、本当に嬉しく心から感謝申し上げます。

●情緒教育の中で育まれた美的感受性・美的情緒こそ 創造的な仕事の源

☀数学者の岡潔さん

お経を読み、味わい、俳句の研究を楽しみ、野に咲く一輪のスミレを見て美しいと思う心
これら美的感受性こそが、数学の研究をする上で、最も重要な要素である。


☀国家の品格など多くの著書を表している数学者の藤原正彦さん
数学者、物理学者、医学者、工学系の人など、あらゆる理系の学問において 美的情緒こそが、創造的な仕事の源となる。

☀数学者の岡潔さん
お経を読み、味わい、俳句の研究を楽しみ、野に咲く一輪のスミレを見て美しいと思う心
これら美的感受性こそが、数学の研究をする上で、最も重要な要素である。


☀国家の品格など多くの著書を表している数学者の藤原正彦さん

数学者、物理学者、医学者、工学系の人など、あらゆる理系の学問において 美的情緒こそが、創造的な仕事の源となる。

●美的感受性・美的情緒を育むには 型による学び……先人が編み出した究極の
   学習法が型

明治大学教授で日本語ブームを起こした“声に出して読みたい日本語”の著者 齋藤たかしさん
自分のやりたいようにやるだけなら、それは単なる自己流で、それ以上は伸びない。型を身につけた人は余裕ができ、複雑な課題も考えずに処理できる。先人が編み出した究極の学習法が型なのだ。」


狂言の野村萬斎氏、現代歌人の俵万智さん、ピアニストの仲道郁代さんは、同様に「型の大切さ」そして「型があるから、そこから新しいものが生れてくる」と、おっしゃっています。


元大阪教育大学 音楽科諸石先生 「芸術はすべて模倣から入る。型の模倣から入る。型の模倣をきちっとせずに、自由に勝手にやった人は伸びない。これは教育においても全く同じである。
さらに「安松の子供達は、2~3年をかけて、歌唱の分野や挨拶などの人間関係においても、基本となる型を学び、知識の蓄積を行っている。将来的には創造的な仕事が出来るようになろう。また子供達がそういう型による学びと反復を徹底できるのは、安松のような情熱的な先生がそれを支えているからである」
 「教育とは、一つの型を次の世代に伝えること」とも、言い換えることが出来ます。

●情緒、美的感受性、創造的な仕事などを考えるとき注意しなければならないこと

創造力と記憶力は対立する概念ではなく、創造的な仕事をなすには、美的感受性とともに知識と記憶が必要である

日本で初めてノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士は、著書“創造的人間”の中で、
「創造力は記憶力に比例する」と述べられ、知識を頭に詰め込むことを単純に否定する考え方には、警戒が必要であるとし、創造力と記憶力を対立させることの誤りを指摘されました。
「記憶というものは極めて重要であって、創造的な仕事は、相当量の系統だった知識の蓄積(記憶)があってこそ初めて可能なのです」と述べられています。


明治大学教授で日本語ブームを起こした「声に出して読みたい日本語」の著者 齋藤たかしさん
物理を学ぼうとする人が、ニュートンやアインシュタインが確立した学問体系を素通りして創造性を発揮できるわけがない。だが現代人は、先人の蓄積を飛び越して、個人の創造性がいきなり生まれると思いがちだ。これは素朴というより無知に近い。文化は積み重なるようにしか発展しないのである。


創造力について、脳科学者茂木健一郎氏は、文藝春秋“脳内革命”の中で、「中高年の知識や経験こそが創造力の源だ」と、表現されています。


西林克彦氏の論によれば、「詰め込み教育の問題点は、知識を子供に上手に詰め込めないこと、すなわち子供に非人間的な過剰な努力を強いている点にあるのであって、知識を子供に多く記憶させることは悪ではなく、むしろ勧められるべきことである。」とあります。

●最後にまとめてみます

安松幼稚園では、日本の文化を次の世代に伝えることが学校の責務であると考え、情緒教育
 最も大切にしています。そして、情緒教育を通して、創造的な仕事の源となる美的感受性・美的情緒を子供達に育みたいと思っています。
 そのためには、型による学び・反復が重要となってきます。
その際注意せねばならないのは、情緒,美的感受性,創造力は、何もない所からいきなり生まれてくるのではないということです。色々な分野における先人の文化・知識の蓄積を、一つの型として学び反復することによって身に付ける。そこから新しい創造が生まれます。(守・破・離)