理事長エッセイ

先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り

平成18年5月
理事長 安井俊明
基礎体力をつけると共に強い心を育もう(1)

 当園では、年度当初の4,5月に、年中・年長児を対象に、サーキットトレーニングを行ってきました。
例えば、年長児のメニューは、

(1)鉄棒を使っての腹筋
(2)S棒での両足ジャンプ
(3)マットでの前転(前まわり)
(4)左右それぞれ片足でのケンケン跳び
(5)ダッシュならびに走り幅跳び的なもの
(6)坂をダッシュで駆け上がる
(7)跳び箱

が、標準的なもので、上記を毎朝、3セット行う。
 この2ヶ月のトレーニングで、目に見えて、体力が向上していくのがわかりました。

 が、それにもましてここ7,8年 脚力・腹筋・背筋の弱い子供が目立って多くなってきました。
 例えば、前転(前まわり)の後、さっと立ち上がる事ができなくて、まるで病気のお年寄りのように、横に手をついて、「ヨッコラショ」と、数秒かかって立ち上がる。また何でもない場所で転ぶ。
こういう園児が非常に多くなってきたのです。
 昔は遊びの中に、歩き走るという要素が含まれていましたが、今は室内でのゲームが多くなりました。
 生活様式が変わり、社会が変化し、子供の遊びの質が変わりました。
それと共に、両親の子育てに関する考え方が変わりました。いや、両親だけでなく、祖父母の甘やかしも相当なものです。
 家庭においては、「子供にはしんどい事はさせたくない。小さい子供のことだから……」と考える両親が多くなりました。
 私は、「子育てとは、子供の自立を目指して、子供を鍛え育むこと」だと考えますが、その中で“鍛える”という観点が、現在の子育てから欠落してしまいました。

例えば、2歳前後の子が、庭でヨチヨチ歩きをしていたとします。その少し前方に石があります。
あるお母さんは、その石をすぐに取り上げて、今という瞬間の安全を確保します。
別のお母さんは、子供がその石に気付いて避けるかどうかを見守りつつ、避けることが出来れば認知能力があるということで嬉しいことですし、つまずいてガーンと倒れそうになれば、その瞬間に手を差し出して受け止める。もしくは倒れても安全な状況であれば、見守っている場合もあり得るかもしれません。
 物事は色々な観点から眺めることが必要で、その見方により正反対の評価になることも珍しくありません。


 

子供自身が自分でする前に、お母さんが手を出してすべてやってしまう。
また最初は自分でやらせようとしても、子供が泣くと、それに負けてお母さんがやってしまう。子供の言いなりになるお母さんが増えてきました。お母さんは、まるで子供の召使いのようです。
 小さい王様として育った子供には、基礎体力もつかないし強い精神力も備わりません。
 文部科学省の児童生徒の体力測定も、以前に比べると、いくつかの種目でかなり低下しています。
 心も育っていないので、ある者は不登校や引きこもりへと進み、ある者はすぐに切れて殺傷事件を引き起こします。
 ちょっと、愚痴っぽくなりました。


 そこで結論
これからのカリキュラムの中に、体を動かす・歩く・走る・持久走を多く取り入れていきます。
 目的は、基礎体力をつけることですが、結果として、強い心を育むことにもつながると考えています。
年少児:
芝生での遊びを多くし、体を動かす楽しみを知る

年中児:
園内グランドで、25mダッシュを、数本 行う。

年長児:
週に2回、園外で持久走を行う


 とくに持久走について
今まで、3学期に、全園児を対象に行ってきましたが、これからは、年長児に対しては、1年にわたって行うということです。
最も、個々の体力差がありますので、一律に同じ距離を課することはしません。子供の体力・体調に応じて、それぞれにキメ細かい目標を立てますし、その日の天候等により調整しますので、保護者の方は安心下さい。


 持久走については、後刻、状況をお知らせします。お楽しみに!!