理事長エッセイ

先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り

平成26年1月1日
理事長 安井俊明
新 年 に 想 う
 ―― 日本人としての誇りと自信を取り戻そう ――

④安松幼稚園の生活発表会における言語発表
 そういう意味において、安松幼稚園では国語教育を大切にしています。
ここでは、安松幼稚園の生活発表会における言語発表について述べます。

 今年の言語発表では、慣用句やことわざ・古典の朗唱・ユーモラスな物語・象の家族を描いた物語など、多彩に取り組みました。
安松幼稚園のHP 写真館・ビデオ館の「生活発表会 平成25年度」に、言語発表をup しています。是非ご覧下さい。
ここには、安松幼稚園での言語発表に関しての記事を掲げておきます。




言  語  発  表

 安松幼稚園の生活発表会では、幼稚園にしては珍しく、言語発表がプログラムに組み入れられています。
安松幼稚園が、国語(言語)教育を大切にしている理由を述べてみます。

【理由1】
母国語こそが全ての知的活動の基礎である。読み書きの基礎というばかりでなく、思考そのものと深く関わっている。人間は、言葉(母国語)でもって色々な情感を訴えたり考えたりするのである。それ故人間は、自分の持っている語彙以上のことは考えられないのであって、母国語の語彙をきちんと身に付けないと充分な思考すらできなくなる。「ウッソー」「超ムカツク」などの語彙でもってしか自分の気持ちを表現できない者は、思考や情操においても、その程度でしかない。私達にとって語彙を身につけるとは、多くの場合、漢字について知ることにつながる。

【理由2】
人間の実体験は大切であるが、限りがある。国語を用いて読書を通じて、人間としての情緒や道徳(人のあり方)を学ぶ。国語は、誠実、慈愛、公正、勇気、正義、忍耐、礼節、惻隠の情、卑怯を憎む心、もののあわれ、ユーモアのこころ 等々を学んでいく起点でもある。

【理由3】
国語こそが民族の生命線である。戦争に負けて国土を占領されても民族は滅びないが、言語を一世代にわたって奪われる(使用禁止にされる)と、民族は滅びる。民族としての情緒、道徳、文化、伝統の中核に、母国語があるからである。

安野光雅さんと藤原正彦さん対談の「世にも美しい日本語入門」の中に、「日本の昔からの伝統とか文化とか美しい情緒が、祖国の誇りを生み、自分を支えてくれます」とあります。まさに幼い頃に触れた童謡や俳句や古典が、大人になってから何かの折に胸から湧き上がって、これが力になるのです。







幼児期には
古典の音読・朗唱を是非させたい。
それらは、大きくなった時の生きる力となる。
唱歌「故郷(ふるさと)」を歌い、「祇園精舎」を奏でることにより、多くの生きる勇気を頂く
一国の文化
その国の国語に帰着する
国語力とは語彙力であり
語彙力は漢字力が培う
脳に可塑性のある
幼児期こそが
漢字吸収の最適期である

【補足】
私は以前から、日本の学校教育における「漢字の読み書き同時指導」が、日本人の国語力を弱めている大きな原因だと考えています。子供の発達段階を研究すれば、子供にとって漢字の読み(それも画数の多い漢字を含めて)は、とても簡単なことが分かります。漢字の読みを先行させることが、どんなにか日本人の国語力を高めることになるか! 目覚めよ文部科学省と続けたいところですが…



平家物語

祇園精舎の 鐘の声――――――
祇園精舎(インドのお釈迦様のお寺)の鐘の音は
祇園…古代中インドのコーサラ国の首都(京都の祇園もここに由来する)
精舎…寺院     
声…音
諸行無常の 響きあり―すべてのものは常に無し(移り変わっていく)と言っているように聞こえる
諸…すべて     
行…(つくられた)もの
沙羅双樹の 花の色―――――
沙羅双樹の花(の色)は
沙羅双樹…ツバキの一種
(お釈迦様が死を迎えたとき白くなって枯れたと言われている)
盛者必衰の 理をあらわす―――
栄えている者も必ず衰えるという道理を表している
盛者必衰…さかえる者も必ず衰える     
理…道理(真実)
おごれる人も 久しからず――――
思い上がった振る舞いをする者は、長くは続かない
おごれる…思い上がる(偉そうにする)
ただ春の夜の 夢のごとし――――
それは単に、春の夜に見る夢のようだ
すぐに消える夢のように、はかない様を表している
たけき者も 遂には滅びぬ――――
荒々しい強者も、最後には滅びてしまう
たけき者…荒々しい強者
偏に 風の前の 塵に同じ―――
それはまさに、風が吹くとどこかに飛んでいく塵と同じだ
風の前の塵…風が吹くとどこかに飛んでしまう塵(ゴミ)

  最後になりましたが、今年一年の皆様のご多幸を念じ申し上げます。