理事長エッセイ
先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り
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安松幼稚園 創立70周年に寄せて
~伝えよう 誇り高き日本の文化~
春の訪れを感じつつも肌寒さが残る中、本日、卒園・進級の日を迎えました。
卒園・進級おめでとうございます。
今年度、安松幼稚園は創立70周年にあたり、この3月の卒園生が70期生となります。
それを記念して 2月9日(土)泉の森ホールにて、安松幼稚園 創立70周年記念コンサート ~伝えよう 誇り高き日本の文化~ を開催致しました。
本稿では、創立当時の想い、並びにこの70年、安松幼稚園が大切にしてきたことに触れたく思います。
【Ⅰ】創立時の想い
昭和24年(1949年)の大阪府への設立認可申請書には、「心身共に健全なる幼児の育成に努め、以て文化日本の建設に九牛の一毛にてもお役に立つべく決心した次第です」と、記されています。
当時の時代背景に思いを致す時、戦争に敗れた日本の復興は幼児教育から始まると考え、子供達に日本の文化を継承することの重要さが記され、幼稚園設立に向けての熱い想いが伝わってきます。
【Ⅱ】由来70年 安松幼稚園の2本の柱
●安松幼稚園の教育は、情緒教育という言葉に集約されます。美しいものを見て美しいと感じる心、きれいな歌声を聴いて心震わす美的感受性を育てたいのです。言い換えれば、感動する心を育みたいのです。
●物事に取り組む際には、子供の周りから困難・障害を取り除くのではなく、困難・障害を乗り越える力をつけ、情熱をもって最後までやり遂げる強い精神力を育てたいのです。
これら2点を大切に、この70年、教育に携わってまいりました。
【Ⅲ】コンサートについて
安松幼稚園の原点は【Ⅰ】でも述べましたように、日本の文化を次の世代に伝えたいという点にあります。一国の文化は その国の国語に帰着する という真理にたつとき、安松幼稚園では、格調高い綺麗な国語(日本語)で書かれた唱歌・童謡を教育の中で大切にしてきたのは、自然な流れであったでしょう。
以上が背景となり、園内コンサートは今年で41回、泉の森コンサートは11回を数えました。(泉の森コンサートは、日本の文化を大切にしたいという思いを持つ産経新聞が泉佐野市と共に、安松幼稚園に泉の森での唱歌童謡コンサートを開いてほしいという依頼がきっかけとなって、平成16年1月12日に始まり、2回目からは、安松幼稚園単独の主催となりました。)
【Ⅳ】現在の歌唱指導について
●現在は、唱歌・童謡にとどまらず、ポップスやクラシック、ジブリ作品などの中から、後世に残したい名曲を歌っています。
今回のコンサートで歌われた32曲を掲げておきます。
オープニング 13曲
・一月一日 ・春よ来い ・うれしいひなまつり
・しゃぼん玉 ・背くらべ ・ほたる
・夏は来ぬ ・村まつり ・夕やけ小やけ
・母さんの歌 ・お正月
・花の街 ・これが音楽
メイン 9曲
・ずいずいずっころばし ・通りゃんせ ・あんたがたどこさ
・涙そうそう
・YELL
・どんなときも
・春なのに~「想歌」より
・SAKURA
・さくら
クラス毎 7曲
・鞠と殿さま ・いつも何度でも
・一寸法師 ・やさしさに包まれたなら
・肩たたき ・お母さん ・誕生日
エンディング 3曲
・ふるさと ・旅立ちの日に ・今日の日はさようなら
オープニング 13曲
・一月一日 ・春よ来い ・うれしいひなまつり
・しゃぼん玉 ・背くらべ ・ほたる
・夏は来ぬ ・村まつり ・夕やけ小やけ
・母さんの歌 ・お正月
・花の街 ・これが音楽
メイン 9曲
・ずいずいずっころばし ・通りゃんせ ・あんたがたどこさ
・涙そうそう
・YELL
・どんなときも
・春なのに~「想歌」より
・SAKURA
・さくら
クラス毎 7曲
・鞠と殿さま ・いつも何度でも
・一寸法師 ・やさしさに包まれたなら
・肩たたき ・お母さん ・誕生日
エンディング 3曲
・ふるさと・旅立ちの日に・今日の日はさようなら
●歌唱指導においては、表情・表現を大切にしています。
良い表情は、詩歌の意味を理解し自分の気持ちを込めて歌うことにつながります。また豊かな表情は筋肉を柔らかくし、伸びるやわらかい声が出るようになります。
次に表現(動作)を入れることにより、全員の声が揃うと共に、筋肉が柔らかくなり伸びる声につながります。
【Ⅴ】今回のコンサートについて
●今回は32曲を歌いましたが、特筆すべきは、何と言っても「YELL」と、森山直太朗の「さくら」でしょう。「YELL」は、2009年度NHK全国合唱コンクール中学校の部の課題曲です。共に名曲ですが、この大人の曲を園児たちが清らかな声で美しく歌い上げていく様は、聴いていても感動します。
「YELL」では掛け合いのような力強い二部合唱が、そして、「さくら」では、最後に印象的な二部合唱が入っています。幼稚園で二部合唱というのも、普通はあまり行われていないことです。
●具体的な指導
きれいな高音を出すために、裏声の使い方も工夫しています。多くの他の幼稚園では、裏声の指導は行っていませんが、例えば、「さくら」では、最高音がA(ラ)にまで達して、裏声を駆使して歌っています。他の曲でも、高音のF(ファ)ぐらいは、普通に出しています。他の幼稚園では考えられないことでしょうが、安松幼稚園では、裏声の子と地声の子とをグループに分け、それをミックスさせて高音を美しく聴かせる工夫をしています。曲によって、グループの編成も変わります。先生が個々の子供の音域を把握しながら、一人一人に対して、一つの曲の中で、この部分は地声で歌う、この部分は裏声で歌うという風にきめ細かく指導していきます。このように全ての曲で、個々人により声の出し方が変わっていきます。
【Ⅵ】「春なのに」について
「春なのに」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の復興に想いを馳せた歌です。この歌を聴いた先生が、メロディーの美しさ、詩の意味の深さに感動し、譜面が市販されていなかったので、歌を聴いて譜面をおこしました。
作詞・作曲の菅野祥子さんは、ウィーン在住のメッゾ・ソプラノ歌手であり、故郷・陸前高田市に想いを寄せてこの詩・曲を作られました。コンサートで歌うことの許可を求めたところ、コンサートの前日、陸前高田市の市役所を通じて、お母さまから「幼稚園の子供が復興を願って歌ってくれるのですから、自由にお歌い下さい」の許しを頂きました。
安松幼稚園は情緒教育を基とし、子供たちに様々な美的感性・感動する心を育てたく思っています。震災で命を命を亡くされた方のお話、親を亡くした子供たちの話を、園児たちは涙を流しながら聞いていました。
園児たちはコンサートにおいて、色々な想いを込めて、「春なのに」を熱唱しました。
【Ⅶ】美的情緒が引き継がれていく伝統
年長さんの練習時に、年中さんや年少さんが参観に行きました。鑑賞後、少なからずの園児から、「年長さんの歌を聴いていたら、なんでかわからないけど涙が出てきたわ」との話がありました。年長さんのきれいな歌声、一生懸命に歌う姿に感動したのでしょう。
年中さんや・年少さんの心にも、美的感受性が養われていることを嬉しく思いました。
最後になりましたが、皆様のご多幸を念じ申し上げます。