理事長エッセイ
先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り
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当 園 の 給 食 指 導
当園の給食指導は、次の3点を柱としています。
(1)まずは食事を楽しむということです。
時には音楽を聞きながら、先生やお友達と一緒に楽しく食する事を第一としています。昨日遊びに行ったことや運動会や遠足の話題等、騒がしくならない程度に、先生やお友達とお話をしながら楽しくいただきます。
まず楽しく!!……これが第一です。
(2)次は好き嫌いを少なくし、出されたものを残さずに食べることが出来るようにしたく思っています。しかし好き嫌いと食事量は、個人差がとても大きいのです。
お母さんにとっても、頭の痛い問題だと思います。
幼稚園では、時間をかけて少しずつ好き嫌いを少なくし、出されたものを残さずに食べる方向にもっていきます。
子供の好き嫌いの度合いによって、また食の細さの度合いに応じて、先生が子供のお箸で分けて、「今日は、ここまでいただきましょう。先生も応援しますよ」と励ましながら、徐々に食べることが出来るようにしていきます。そして少しでも嫌いなものを食べた時や、食の細い子供が多めに食した時は、「偉かったねぇ。よく頑張りましたよ」と声かけをし、お友達も、「すごい、すごい」と、手をたたいたりします。
こういう風にお友達と一緒に食事をすることによって、ある程度の期間があれば好き嫌いも少なくなり、また食の細い子供も残さずに食べることが出来るようになります。
しかしもっとも気をつけなくてはならないことは、行き過ぎた指導によって食事の楽しみを奪わないことです。食事は、まず楽しくを忘れてはなりません。
(3)お箸を上手に扱えるという技術・作法以外に、食事を出来る幸せを感じさせたく思います。
食事時の挨拶(食事をいただける幸せ)については、年少はまず形から、年中・年長と進むにつれて、その意味を深めて説明していきます。
3歳児年少では、「食事前には、いただきます。食べた後には、ごちそうさまと言うのよ」という形から入ってきます。
学年が進むにつれて、“いただきます”とは単に私がこれから食事をしますよ、食べますよという意味以外に、「お魚や牛などの動植物の命をこの私がいただいて、すなわち奪うことによって、この私の体が元気になり、そして大きくなっていくのですよ」という意味があることを少しずつ伝えていきます。
大人の方になら、「私たち人間は、周りの色々なものの命を奪うことによって、自分の命を保っています。言い方を変えるなら、周りの動植物の命を奪わなくては、生きていけないのが人間なのです。この事実に目を向けるなら、自分を含めた全ての生き物の命を大切にし、感謝する心が自然と芽生えるのではないでしょうか」との表現になるでしょう。
こういう内容を園児たちが理解できる形に噛み砕いて話します。(下の例参照)すると園児の方から、「食べ物、残したらあかんなぁ」とか、「好き嫌い言うたらあかんなぁ」「僕、今日は残さんとみんな食べるわ」などの言葉が自然に返ってきます。
幼稚園での給食指導は、好き嫌いなく色々なものを食するという目的以外に、私たちの周りにある命そのものの尊さに目覚め、その結果自分の命も大切にするという、人間が生きるという意味そのものに触れていくことを大切にしています。
家庭でどのようにお話しされ、また食事時の作法をなされているかは、子供の育ちにとても重要だと思います。
例;
当園では、先生の感性によって、新聞の写真を教室に貼る園風があります。
ある時、アフリカのある地域が旱魃(日照り)で食糧難となり、多くの人が飢餓で亡くなっていく中、栄養失調でお腹の膨れた一人の子供の写真が教室に貼られていました。
ある日、園長先生がその教室で子供達と一緒にお弁当を食べました。たまたま一人の園児が、「園長先生でも泣く時あるん?」と話しかけました。園長先生は「そうよ、大人でも涙が出るときはあるのよ。…(少し略)…な非常に嬉しい時も涙が出てくるし、あの写真のように、食べるものがなくて『お腹がすいたよ』と言いながら地面に僅かに残っている草を食べている子供の話を聞いたり、教室の後にはってあるような栄養失調でお腹の膨れた子供の写真を見たら涙が出てくるのよ……」という内容を、園児にもっと噛み砕いて詳しく話しました。
すると約3、4割前後の子供の目から、スーッと涙がこぼれたそうです。
そして園児の方から、「食べ物、残したらあかんなぁ」とか、「好き嫌い言うたらあかんなぁ」とか、「僕、今日は残さんとみんな食べるわ」などの言葉が自然に返ってきたそうです。
当園では、このような心を子供に育てることこそ食事指導の原点と考えています。